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 有料 2015.03.31 Tue
『ジョブズが語りかける美容企業がすべきブランディングの本質とは、という話。』




会社を追い出された創業者が、
不死鳥のように返り咲くのは、
相当な能力とカリスマ性があるからこそ。
そんなことを成し遂げた人物は数少ない。


一度、クビになった
スティーブ・ジョブズが、
Appleに復帰した1997年。

Appleでは、
起死回生のキャンペーンを展開する

そう、

「Think different」

だ。


テレビコマーシャルでは、
アインシュタイン、ボブ・ディラン、
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、
リチャード・ブランソン、ジョン・レノン(オノ・ヨーコ)、
トーマス・エジソン、モハメド・アリ………

20世紀に活躍した17人の象徴的人物が
白黒のフィルム映像で登場する。
視聴者に語りかけるのはジョブズ本人。


ジョブズは、
このキャンペーンを通じて、

”Appleの哲学”

を伝えたかったと後述している。


彼の言いたかったAppleの哲学とは。


その哲学はひと言では語られていないが、
あるインタビューでこんな意味のことを答えている。
※私の解釈であり、抜粋です。


………………………………………………………………………
大人になると、
”世界はこういうもんだ”
ってことがわかってくる。

そうすると、自分が何かをすると、
ほかの誰かが突き出されてしまう。
何もしないことでいることが、
大人なのだということになる。

人生なんて変えられない、って思う。
それはとても制約された人生だ。

回りの状況は変えられるし、
自分が回りに影響を与えることもできる。

人生は変えることができると理解すれば、
自分で人生とは造形していくことができる。

それこそが、何よりも大切なことだ。
自分自身の痕跡を刻み込むことだ。
………………………………………………………………………


そして、
”Think differentコマーシャル”の
最後のメッセージはこう問いかける。
(ナレーションはジョブズ本人)



「自分が世界を変えられると、
本気で信じる人たちこそが
本当に世界を変えているのだから」



このジョブズの考えの根源を探ると、
もはや有名となった、
ジョブズが社員たちに話した
”Think different”のスピーチが見えてくる。
※全文は検索してみてください。


そのなかの要素を勝手に抜粋してみる。
当時、Appleの経営状況は芳しくなかった。
そこに復帰したジョブズは、
原点回帰を求めた。
それこそが、
”Think different”。


…………………………………………………………………………………………………
Appleは世界のトップブランドのひとつになった。
ナイキ、ディズニー、コカコーラ、ソニーと、
肩を並べるトップのなかのトップだ。
しかし、ブランドの存在感や活力を維持するには、
つねに継続的な投資とケアが必要だ。

私たちは、
ブランドとしての輝きを
取り戻さないといけないんだ。

では、どうやって?
Macの処理速度の速さや価格を伝えること、
ではない。
製品の種類や性能を伝えることでもない。



史上、もっとも素晴らしい
マーケティングの例は、ナイキだ。


思い出して欲しい、
ナイキは日用品を売っているんだよ!
彼らは靴を売っているんだ!
しかし、ナイキのことを考えるとき、
みんなはただの靴メーカーとは
感じないだろう。

彼らの広告では製品については語られない。
では、彼らは何を訴求しているのか。


それは偉大なアスリートや
偉大な競技を賞賛しているんだ。

これこそ、彼らが、
何者であるか、
何のために存在しているのかを表現している。



顧客が知りたがっているのは、
Appleとは何者であり、
我々が拠って経って立つものは、
何だということだ。
Appleはこの世界でどんな役割を
果たせるのだろうか。


世界は必ず変えられる。


そう考えるくらい、
クレイジーな人たちが、
本当に世界を変えているんだ。

だからこそ、
我々は初めてブランドを訴求する
マーケティングキャンペーンを、
これから数年にかけて実施する。

Appleが信じているこの価値に立ち戻るために。
…………………………………………………………………………

この考え方は、
Appleの理念となって、きっと、
きっと今も生き続けている。
ジョブズがこの世から消えても、
理念は消えない。



美容室業界のイベントやキャンペーンを見ていて、
とても不思議に思うことがある。
なぜ、美容師さんに向けて行うのか。


ナイキの靴を売るのは、
シューズショップやスポーツショップ。
Macを売るのは電気店や量販店。
では、彼らのキャンペーンは、
それらの人に向けられているのだろうか。


ジョブズの言う通り、
ナイキのキャンペーンストーリーは、
アスリートを賞賛して、支援して、
そこに物語を作り、一般の顧客に訴求している。

彼らのマーケティングになぞらえれば、
一般顧客に対して、
美容師を賞賛し、支援していくのが、
ブランドマーケティングのキモなのがわかる。

そして、
一般の消費者からブランドが認証され、
賞賛されてこそ、
アスリート(美容師)にフィードバックできるのだ。

今までまったく知らなかった競技、
興味のなかった競技を、
知らなかったアスリートたちを、
ナイキのキャンペーンで
知ることはとても多い。


美容師の素晴らしさを、
美容師に伝えることも大事だが、
もっと一般への訴求をしていくこと。
それは安っぽい宣伝ではなくて、
見返りを求めるコマーシャルではなくて、
伝えることはできないのだろうか。


もはや、
みんなに良い顔をする時代ではない。
ナイキの支援を受けているアスリートで、
テレビコマーシャルに出られなくて、
文句を言う人を聞いたことがない。
もし文句を言うアスリートがいれば、
それは社会から侮蔑の目線を浴び、
ナイキの選択肢から外れるだろう。

異業種から学ぶべきことは多く、
歴史から疑似体験を得ることは多い。
それらを自らのサイズにフィットさせ、
いかに着こなしていくのか。

こんな閉塞感がどんよりと漂う、
景気が悪化している市場だからこそ、
大きな影響力を持つ美容企業が、
世界を変えてくれることを、
心から願わずにはいられない。




と、すいません、偉そうに。
こういうこと書くと怒られるんだよなぁ……。

株式会社パイプドビッツ
美歴カンパニー
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣


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