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 有料 2015.04.10 Fri
『美容室がコダックになるか、富士フィルムになるか、判断の瀬戸際にきている、という話。』




”金融部門”がソニーの大きな売上になったように、
”化粧品部門”が富士フィルムの主力になったように、

その会社の主たる業務と思われていた事業が、
ときを重ねて変わることは、
ここ数年では当然のことになっている。
それは企業が生きていくための処置だ。

最近では大塚家具の”お家騒動”が話題だ。
娘社長はこれまでの会員制を止めて、
誰もが家具を購入できる方針に変更しようとしている。

この施策が成功するかどうかは、
今後の経営手腕にかかるのだが、
今の段階だけを見ていると、
父会長がおっしゃるような、
過去の栄光にしがみつくのは危険、
と言っていいのかもしれない。

IKEAやホームセンターなど、
巨大な競合企業がひしめき合う家具業界で、
今後も生き残るためには、
変化と挑戦を止めることはできない。
顧客のニーズが動いていくのであれば、
提供するサービスも変化させてしかるべきだ。

ただ重要なことがあるとも思う。
それは”大塚家具らしさ”とは何か、だ。
海外の高品質な家具を提供する、のが
大塚家具がこれまで行ってきたサービスだ。
だからこそ、会員制にして顧客サービスを充実させ、
ひとつひとつの家庭に合う高品質家具が提供できた。

しかし、顧客のニーズは変わってきた。

このとき、何が大塚家具らしさであって、
何を大切にして、何を変えていくか
これを見誤ると競合と戦うことはできない。

セブンイレブンが100円コーヒーで成功するまでに、
5回もの失敗を繰り返してきたと何かの記事で読んだ。
私はまったく憶えてないが、
過去に店内でコーヒーを提供するサービスを実施し、
その度にトラブルやニーズとの誤差が生まれて、
実験しては撤退して、を繰り返してきたそうだ。

その結果、
市場のニーズとマッチした今のスタイルに行き着いた。
私なんかは、昨今のコーヒーブームに乗った、
上手い経営手腕だと思い込んでいたが、
その実は、長期的な挑戦の結果だったようだ。

美容室という業種の主たる売上は、
カット、カラー、パーマなど、
お客さんのヘアスタイルを作る(もしくはケア)すること。
ただ本当にそれだけでいいのか。
ほかにも売上に繋げる施策があるのではないか、
そんなことを常日頃、考えてしまう。

売上の高いスタッフが辞めることで、
会社全体の売上が激減するというのは、
様々な問題を含んでいて、
そもそもそのような状況(売上個人依存)を作った
経営方法に問題があると言わざるをえない。

2012年にコダックが事実上の倒産に追い込まれたのは、
富士フィルムのように独自技術の深掘りや拡大ができず、
顧客ニーズに対応できなかったと言われる。
(しかし、恐らく、本質的には日米による企業観の違い、
特に投資家に対する考え方や倒産に対する意識の違いが大きい、
とも言われている)

事業の多角化はとかく”手を広げること”と思われがちだが、
自分たちの持っている技術を深掘りして、
これまでにない顧客のニーズにマッチさせることは、
バブル期の多角化とは意味がまったく違う。

まずは美容室というビジネスの本質、可能性、拡張性、
その後にくるのは、これをもとにした方法論、
そして継続的な実験の連続による収益性の向上、

このサイクルを実直なまでに行うことで、
美容室(もしくは美容師)という仕事の、
本質をブレさせることなく、
新しいビジネスへ展開させることができはずだ。

この対応を今のうちから実行できるか、
シャットアウトしてしまうか、
この判断によって道は大きく変わる。

職人として職を突き詰めるのは、
ひとりの人間としても大切なことだ。
ただ、もし企業として従業員を幸せにしたい、
そう思っているのであれば、
変化にチャレンジすることだって、
経営者という職人に求められている資質なのだと思う。



なんて、超偉そうに失礼致しました。


株式会社パイプドビッツ
美歴カンパニー
美容師名鑑編集部 BirekiMagazine編集部
兼任編集長 石渡武臣


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